秋葉原駅から万世橋方面へ徒歩で5分程歩くと、かつて神田連雀町と言われた神田須田町界隈にたどり着く、そこは戦災をくぐり抜け、いまなお古き良き東京の面影をとどめ、都会の中核にありながら創業百年以上の老舗が当時のままの姿で軒を連ねる場所でもある。
その一角に昭和五年創業という歴史ある老舗甘味処『竹むら』がある、建物は入母屋造りのどっしりとした感じで「東京都選定の歴史建造物」に指定されている。
聞くと先代が甘味処を始めたきっかけは当時神田界隈に汁粉を専門に出す店が少なかった為、汁粉屋らしい汁粉屋作りをめざして開業したとのこと。この辺りは食事処も多く、近くのお店で鍋や蕎麦をお酒と共に食べた後、
最後にちょっと甘いものでもと、立ち寄るお客が多かったようだ。
さて『竹むら』の名物といえば「揚げまんじゅう」だ、こしあんの饅頭に小麦粉の衣をつけて上質の油でカラッとあげた揚げまんじゅう香ばしいごま油の風味とサクサクの衣、溶けるようなこしあんは絶妙な相性で一人 2 個は軽く食べられてしまう。
また四季折々、季節を感じるメニューを出しており、寒くなる 10 月頃から春明け 5 月まではあわぜんざいやお汁粉、熱くなる6月からは氷とか白玉が中心となる。
餡は豆の選別作業から始まり夜、水に浸けて朝炊き始め、あんこになるのは昼過ぎになるという手間の掛けようだ。餅は創業当時から使用している杵で搗いている。
ちなみにあの「池波正太郎」も『竹むら』がお気に入りだったようで、一杯やった後に、あわぜんざいを食べ、揚げまんじゅうを手土産に帰ったそうだ。鬼平犯科帳に登場する「しる粉屋」はもしかしたら『竹むら』がヒントかも知れない。
最近ではあの人気アニメ『ラブライブ!』の穂乃果の実家(甘味処穂むら)や「仮面ライダー響鬼」のロケ(甘味処たちばな)でも使われてサブカルの街、秋葉原に近いことから、ファンが聖地巡礼として多く訪れるとのことだ。
秋葉原で歩き疲れたら、甘いもので栄養補給しながら昭和ノスタルジーとアニメや特撮の世界観を味わいに来てみてはどうか。
『竹むら』
所在地 :東京都千代田区神田須田町1-19-2
TEL :03-3251-2328
営業時間:11:00~20:00
定休日 : 日・祝日